レジュメは「読まれる」のではなく「スキャンされる」
エグゼクティブ採用でも、レジュメが精読されることは少ないものです。採用責任者が一通に費やす初回の時間は30秒から1分程度です。レジュメの設計思想は「読ませる」ではなく「スキャンに耐える」ことにあります。
サーチの現場では、経歴が魅力的であるにもかかわらず書類で見送られるケースに遭遇します。原因はほぼ例外なく、経歴の中身ではなく情報の配置にあります。
「何を書くか」より「何を先に見せるか」
レジュメ設計で最も重要なのは情報の優先順位です。冒頭のサマリー欄で読み手が得る印象が、その後の経歴情報の解釈フレームを決定します。「事業開発領域で20年の経験を持つ」という書き出しと、「3つの事業を立ち上げ、うち2つを収益化に導いた」という書き出しでは、読み手の期待値がまったく異なります。前者は属性情報、後者はインパクト情報です。スキャンする側の脳が反応するのは後者です。
職務記述で多いのが「責任範囲の列挙」に終始するパターンです。「◯◯部門を統括」「◯◯名の組織をマネジメント」は、何をしていたかは伝えますが何を変えたかは伝えません。採用側が知りたいのは、その人物がポジションに就く前と後で何が変わったかという差分情報です。
構造を改善する三つの視点
- 視線の動線設計: 最も伝えたい情報を左上に配置し、見出しやセクション区切りで視線の停止点を意図的に作ります
- 抽象と具体の交互配置: サマリーで全体像を示し、各職歴で具体的インパクトを示します。数字を含む成果の直前に事業環境の文脈を置くと効果が増します
- 余白の確保: 情報を詰め込みすぎたレジュメは何が重要か分からなくなります。関連の薄い経歴は大胆に圧縮することが効果的です
レジュメの情報設計は、読み手の認知資源を尊重しているというメッセージそのものです。経歴の華やかさではなく設計の精度で勝負する——その発想の転換が通過率を静かに変えていきます。